【簿記】小切手の振り出しは現金?当座預金?【誰が振り出したかで決まる】

小切手の仕訳が苦手な人「手形と小切手がまぎらわしい。なぜ現金や当座預金を使うのかわからない。どうやって使い分けるの?」

そんな疑問に答えます。

 

本記事の内容

  1. 『手形』と『小切手』を混同しない考え方
  2. 「現金」「当座預金」の使いわけは「誰が振り出した」かで決まる
  3. 帳簿と実際の残高に差異が生まれることも【それでもいい理由】

この記事を書いている私は、簿記1~3級を取得し総勉強時間1000時間を超えます。

私自身、小切手問題に悩まされた時期がありました。

そもそもどうして「小切手」という勘定科目がないのかモヤモヤした人もいるかもしれません。

支払手形や受取手形と混同したりしますよね。

本記事では、小切手の仕訳がスムーズに解けるように「現金」「当座預金」の使いわけなどについて紹介します。

『手形』と『小切手』を混同しないように!

『手形』を仕訳するときの勘定科目は「受取手形」や「支払手形」なのに、なぜ『小切手』は「現金」または「当座預金」なの?

と疑問に思ったことはありませんか。

なぜこのような違いがあるかというと、現金化できるスピードにポイントがあります。

『手形』は、記載されている期日までは現金化することはできません。

そのため、現金とは明確に区別しなければいけません。
区別できるように「受取手形」や「支払手形」の勘定科目が存在します。

一方で、『小切手』は銀行に持っていけばすぐに現金化してもらえます。
銀行に持っていきさえすれば、いつでも現金にできるので、もはや現金を受けとったと同じような状況なわけです。

そのため手形のように明確な区別をする必要がなく、『小切手』という勘定科目は存在しません。

「現金」「当座預金」の使いわけは小切手を誰が振り出したかで決まる

『小切手』は銀行ですぐに現金化することができるので「現金」を使って仕訳をするというのは理解できましたよね。

では、なぜ「現金」と「当座預金」2つの科目を使いわけるのか疑問に思うかもしれません。

それは、小切手を誰が振り出したかで実際の状況が変わるからです。

例えば、他社が振り出した小切手を受け取ると、それを持って銀行に行けばすぐに「現金」にしてくれます。

しかし、当社が振り出した小切手を他社に渡す場合は、銀行に持って行くのは「他社」ですよね。

そして他社が銀行から現金を受け取ると、当社の「当座預金」から小切手の金額が引き落されるわけです。

そのため、小切手の仕訳では勘定科目が「現金」と「当座預金」の2つに分かれることになります。

ポイント
他社が振り出した小切手は「現金
当社が振り出した小切手は「当座預金

他社が振り出した場合は「現金」

「他社」が振り出した小切手については「現金」で仕訳します。

(例題) 商品を¥500で売上、代金は他社振出の小切手を受け取った。

① 誰が振り出した?→ 他社 →「現金」で仕訳
② 受けとった?渡した?→「受けとった」

「現金」で「受けとった」→ 現金(資産)が増加した→ (借方)現金

借方 貸方
現金 500 売上 500

当社が振り出した場合は「当座預金」

「当社」が振り出した小切手については「当座預金」で仕訳します。

(例題) 売掛金¥1,000を、以前当社が振り出していた小切手で回収した。

① 誰が振り出した?→ 当社 →「当座預金」で仕訳
② 受けとった?渡した?→「受けとった(回収)」

借方 貸方
当座預金 1,000 売掛金 1,000

ひっかけ問題でよくあるのが、当社が振り出した小切手がまわりまわって戻って来る場合です。

小切手を受け取ったからと「現金」で仕訳したらNGです!
誰が振り出したのか」を正確に読み取らなくてはいけません!

当社振出の小切手を他社に渡した時には、(貸方)当座預金で仕訳しているわけですから、それが戻ってきたら(借方)当座預金になります。

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2019年8月25日

実際の銀行残高と差異が生まれても大丈夫なの?

「現金」や「当座預金」で仕訳すると、銀行で支払い請求をしない限り、帳簿と実際残高に差異が生じるからややこしいのでは?と感じる人もいると思います。

例えば、買掛金の支払いのために当社振出の小切手を渡した場合

借方 貸方
買掛金  当座預金

と仕訳をしますよね。しかし、帳簿上の当座預金は減りますが、実際の銀行残高は相手が銀行に行って支払請求しない限り減りません。

ここに納得いかない人もいると思います。
ルールですからと言われてもモヤモヤしますよね。

差異がでても問題ない理由は、差異が一時的なものだからです。
小切手を振り出してから実際に引き落とされるまで通常は、当日~数日ほどです。

当日~数日のタイムラグを管理するためだけに一旦、違う科目で仕訳をして引き落としを確認した後、再び仕訳をするとなると手間がかかります。

件数が多くなればなるほど大変ですよね。

引き落されることは確定しているわけですから、はじめから「当座預金」で仕訳をします。

決算日の銀行残高に差異があれば「銀行勘定調整表」を作成する

決算日に帳簿と実際の銀行残高が不一致であれば「銀行勘定調整表」を作成します。

銀行勘定調整表は、不一致の原因を確認・調整するために作成されるものです。

当社振出済みの小切手が、決算日になっても銀行から引き落とされていない場合は「未取付小切手」として銀行残高を調整することになります。

決算の際には、差異を把握し原因をあきらかにすることで帳簿と実際の銀行残高を一致させます。

まとめ

小切手と手形を混同しないように!

手形』には「受取手形」や「支払手形」などの科目があります。
記載されている期日までは現金化できないため、現金と明確に区別して管理する必要があるからです。

一方、小切手は銀行で支払請求をすればいつでも現金として受け取ることができます。
そのため『小切手』は「現金」または「当座預金」で仕訳をします。

他社」が振り出した小切手 ⇒「現金
当社」が振り出した小切手 ⇒「当座預金

誰が振り出した小切手なのかで使う科目がちがうので注意しましょう!

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