訂正仕訳がなぜ必要か
帳簿に記録されている過去の仕訳が誤っていたときに作成する仕訳を訂正仕訳といいます。
お金を記録する役割をもつ簿記では、間違った処理も、訂正する処理も全て記録として残します。
そのため過去の仕訳が誤っていたとしても消しゴムで消したり、帳簿の記録を削除することはしません。
間違った過去の仕訳は記録として残したまま、正しくなるように追加で仕訳をするのが訂正仕訳です。
訂正仕訳は型にあてはめて解けばスムーズ
訂正仕訳が完成するまでの流れ
- 誤った仕訳を逆に仕訳する
- 正しい仕訳を作成する
- 上記①②をまとめる
この流れにはどんな意味があるのか、
① 誤った仕訳を逆に仕訳する → クリアになる(誤った仕訳がなしになる)
② 正しい仕訳を作成する → クリアの状態から正しい仕訳が追加されることになる
③ 上記①②をまとめる → 「訂正仕訳」の完成
▼ 例題:下記の場合の訂正仕訳を求めなさい▼
問題 | 福利厚生費¥5,000を現金で支払った際に、借方科目を法定福利費としてしまった |
答え | 福利厚生費 5,000 / 法定福利費 5,000 |
「訂正仕訳」を完成させる流れにあてはめて考えよう
① 誤った仕訳を逆に仕訳する
「誤った仕訳:法定福利費 5,000 / 現金 5,000」を逆にすると…
借方 | 貸方 |
現金 5,000 | 法定福利費 5,000 |
② 正しい仕訳を作成する
本当はどんな仕訳が必要だったのか…
借方 | 貸方 |
福利厚生費 5,000 | 現金 5,000 |
③ 上記①②をまとめる
① 現金 5,000 / 法定福利費 5,000
② 福利厚生費 5,000 / 現金 5,000
↓
訂正仕訳の完成!
借方 | 貸方 |
福利厚生費 5,000 | 法定福利費 5,000 |
訂正仕訳が苦手な人は別に原因があるかも
訂正仕訳を作成する流れはとてもシンプルです。
この流れはどんな問題でも変わりません。
しかし訂正仕訳を難しく感じる人が多いのは訂正仕訳をすることとは別に原因があるかもしれません。
難しいと感じるのは問題文が原因
正しく文章を読み取れないため、訂正仕訳を難しいと感じていませんか?
もともと簿記の問題文はとても読みにくいです。
一文も長く、回りくどい言い方がされていたりしまう。
そんな問題文で読み取らなくてはいけないのは
「誤って作成した仕訳はなんなのか」です。
そこを読み取れたら、「正しい仕訳はなんなのか(本当はどんな仕訳が必要だったのか)」がわからなくてはいけません。
「誤った仕訳」と「正しい仕訳」の2つがなければ、訂正仕訳を完成させる流れに当てはめることができません。
そもそも正しい仕訳がわかっていない
そもそも訂正仕訳ではなく、正しい仕訳(本当はどんな仕訳が必要だったのか)がわかっていないのではないですか?
訂正仕訳を完成させるために必要なのは
「誤って作成した仕訳はなんなのか」と
「正しい仕訳はなんだったのか(本当はどんな仕訳が必要だったのか)」
ということです。
通常の減価償却の仕訳ができない人が、減価償却の訂正仕訳ができるはずがありません。
同店振り出し小切手で使う勘定科目がわからない人は、正しい仕訳がなんなのかわからないため訂正仕訳の問題を解くことはできません。
本来、求められる仕訳ができない人は、まずテキストを振り返って通常の仕訳ができるように勉強しましょう。
訂正仕訳はそれからです!
まとめ
訂正仕訳は型に当てはめて解くとスムーズに作成することができます。
- 誤った仕訳を逆に仕訳する
- 正しい仕訳を作成する
- 上記①②をまとめる
しかし、訂正仕訳を難しいと感じてしまう人は多いです。
もしかしたら別に原因があるかもしれません。
問題文を正しく読み取れていますか?
正しい仕訳を作成する知識は揃っていますか?
苦手なところを明確にした上で勉強を進めていくことが大切です。